猫の本棚名作紹介ブログ

古今東西の名作を日々の雑感もまじえ紹介します。読書で人生を豊かに。

『ミドルマーチ 3』 ジョージ・エリオット

隙のない綿密なプロットで、さらにどの登場人物も丁寧に心理描写されているので、嫌な人物でさえその行動に共感できないまでもある程度納得してしまう。

現在放送中の大炎上している朝ドラの制作者に見習ってほしい素晴らしいドラマ。

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第5部 死の手

 


リドゲイトの治療方針と彼の態度はミドルマーチの医師たちの嫉妬と反感を買った。

新妻ロザモンドは、夫が医者でなければよかったのにと思うことがよくある、と言ってリドゲイトを困惑させる。

 


ラディスローはブルック氏の『パイオニア』新聞社で編集者として働いているが、画業には未練がないようで、反骨精神で社会的意識を高めている。また、彼はリドゲイトとよく気が合い、リドゲイト宅に遊びに行き、ロザモンドと一緒に歌を歌ったりしていた。

 


ラディスローは、ドロシアへの思慕を彼女の夫カソーボン氏に気づかれ、カソーボン邸を出入り禁止にされていた。しかし、どうしても彼女に会いたいと思い教会に行く。

 


ドロシアは夫とともに教会に現れたが、カソーボン氏はラディスローを無視し、和解は遠のいた。

 


カソーボン氏の容態は悪化し死亡する。

彼はドロシアに自分の死後ラディスローと再婚しないことが遺産を相続する条件であると遺言した。ドロシアは夫に幻滅すると同時に、ラディスローへの自分の気持ちに気づく。

 

 

 

ブルック氏は選挙法改正法案が争点になっている国会議員選挙に立候補した。ラディスローは選挙参謀となり政見演説や討論会のスピーチライターとして辣腕をふるう。

だが、ブルック氏は選挙演説で記憶が飛んでしまい、惨憺たる結果だった。

ラディスローはブルック氏を見限り、他所で実力をつけ出世し5年経ったら戻ってきてドロシアに求婚しようとミドルマーチを去りロンドンに行くことを決意する。(しかし、なかなか立ち去ろうとしない。)

 


カソーボン氏亡き後、フェアブラザー牧師がローウィックの牧師館を引き継ぎ二つの教区を受け持つことになり経済的にも余裕ができる。フェアブラザーの母や姉は、彼にメアリ・ガースと結婚をすすめる。しかし、メアリ・ガースは幼なじみのフレッドを愛している。

そんな時にフレッド・ヴィンシーが学位をとり帰ってきて、気がすすまないがほかにやることが見つからないから牧師になりたいというが、どう考えても向いていない。結局ケイレブ・ガースの仕事を手伝うことにする。さすがのガース夫人も、メアリがフェアブラザーを選ばず頼りないフレッドを選んだことに落胆し、フレッドに嫌味を言うのだった。

 


第6部 未亡人と妻

 


ロザモンドは夫が誇りを持っている医師という職業にまったく関心がなく、貴族に憧れている。リドゲイトの親戚の男爵と乗馬を楽しみ、その時の事故がもとで流産してしまう。贅沢も相変わらずで、借金が嵩みリドゲイトは家財道具や宝石を売り払う決意をする。ロザモンドは父ヴィンシー氏に金の無心にいくが、貸す余裕はないと断られる。

 


銀行家バルストロードの過去の秘密を知るラッフルズという男(故フェザストーンの愛人の夫)が現れ、バルストロードをゆすり始める。

孤児だったバルストロードは金持ちのダンカーク氏と知り合い、質屋経営を任され、ダンカーク氏亡きあとダンカーク夫人と最初の結婚をする。ダンカーク夫人には前夫との間に家出した娘と亡くなった息子がいた。家出した娘は実は見つかっていたが、バルストロードはそのことを妻に隠していた。その妻は5年後に亡くなった。妻の財産は家出した娘が相続すべきであったが、バルストロードはそれを隠し、自身が相続した。

バルストロードは良心の呵責に苛まれ、ラディスローを呼び出し告白する。家出した娘は実はラディスローの母親だった。母親はすでに亡くなっており、バルストロードはラディスローに償いをしたいと財産分与を申し出るが、ラディスローは、不正に築いた財産など受け取れない、と拒否する。

 


ラディスローは一回別れの挨拶にドロシアのもとを訪れているが、再度挨拶に訪れる。ロンドンに行くと宣言してから、2ヶ月もうろうろしているので、ドロシアの妹の夫サー・ジェイムズ・チェッタムからは胡散くさい男と思われている。ラディスローとドロシアは互いの気持ちを知りたいと思うが、2人とも本心を押し隠し別れるのだった。

 


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