シェークスピアを筆頭に世界的名作を著した作家を輩出してきたイギリス。なかでも有名なのは19世紀の女性小説家だろう。19世紀初頭のジェイン・オースチン、19世紀中期のブロンテ姉妹、19世紀後期のジョージ・エリオットは世界文学史において輝きを放っている。
『高慢と偏見 Pride and Prejudice 』
18世紀末イギリスのジェントリー階級(上流階級だが貴族ではなく大地主階級)の一家の娘たちの恋愛を描く。岩波文庫の格調高い訳で読みはじめたが、コメディ・タッチの小説なので、途中からいくらかくだけた翻訳の中野康治訳のちくま文庫電子版に切り替えて読んだ。なお、原文は自由間接話法が多用されており、イギリスでの自由間接話法の先駆けであるとのこと。
ベネット一家の5人姉妹の次女エリザベスが主人公。そっくりそのまま連続テレビ小説になりそうなストーリー展開。
エリザベスの視点から綴られているので、エリザベスが語り手のように錯覚し、エリザベスの心情がひしひしと伝わってくる。
登場場面の少ない妹もいるが5人姉妹それぞれの性格の違いは明確に描かれている。5人もの姉妹設定にしたのは、ベネット家では財産相続を男子限定と定めたので、男子が生まれるまでと思い子どもを作ったが,結局女の子ばかりで男子には恵まれなかったということだ。この場合,遺産は親類の男性が相続することになる。
したがって、財産を相続できない女性の婚活・恋愛は死活問題となる。
それでも、プライドのあるエリザベスはそう簡単には結婚しない。
エリザベスは、舞踏会で出会った裕福でハンサムなダーシーからプロポーズされる。ラブ・コメディのお定まりだが、ダーシーの初対面の印象は最悪だった。高慢で人を見下したような態度のダーシーに、エリザベスははっきり求婚を断る。高慢な人という印象は、のちに偏見だったと気づく。エリザベスはダーシーの思いやりの深さを知るにつれ、愛するようになっていく。
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