猫の本棚名作紹介ブログ

古今東西の名作を日々の雑感もまじえ紹介します。読書で人生を豊かに。

2021-02-01から1ヶ月間の記事一覧

パルタイ

#パルタイ #倉橋由美子 #新潮文庫 カフカ、カミュの影響がみられる処女作品集。 ▶︎パルタイ 昭和35年1月 革命を目指す「パルタイ」に参加した「わたし」。 「パルタイはどこかに実在し、奇妙に複雑なメカニズムで動いており、たえずのびちぢみしてはわたしの…

出家とその弟子

#出家とその弟子 #倉田百三 1891-1943 #岩波文庫 ▶︎青年たちの熱狂的な支持を得て、夏目漱石の『こころ』とならび創業まもない岩波書店の大ベストセラーとなった。作者26歳の時の作品。 先日インスタにポストした北杜夫の『楡家の人びと』の中で、学業成績…

シーシュポスの神話④ 不条理な論証 哲学上の自殺

#不条理な論証 *l’absurd 「不条理」というと難解なので、「理不尽」と直して理解に努めていたが、もっとぴったりな訳が見つかった。「ばかげた」である。これだと荒唐無稽という意味も含んでいる。 ▶︎実存哲学の考えーシェストフとキルケゴール2人の『飛躍…

シーシュポスの神話③ 不条理な論証 不条理な壁  

ふと、舞台装置が崩壊することがある。起床、電車、会社や工場での4時間、食事、電車、4時間の仕事、食事、睡眠、同じリズムで流れてゆく月火水木金土、ー機械的な生活の果てに倦怠がありある日、≪なぜ≫という問いが頭をもたげる。すると意識の運動が≪はじま…

シーシュポスの神話② 不条理な論証 不条理と自殺

#不条理な論証 #カミュ ▶︎真に重大な哲学上の問題 それは自殺ということだ。 人生が生きるに値するか否か、人生の意義を判断する、これが哲学の根本問題に答えることなのである。 あらゆる本質的な問題について、ー本質的問題とは、ときにひとを死なしめるか…

シーシュポスの神話① カミュの『不条理』とは

カミュの『不条理』とは 翻訳者である清水徹氏の付記によれば、 基本的には、形容詞 absurde を「不条理な」、名刺 l’absurde を「不条理」と訳している。 普通のフランス語としては、absurde とは「なんとも筋道の通らない」「意味をなさない」「荒唐無稽な…

『ペスト』カミュ

カミュは1957年戦後では最年少の43才でノーベル文学賞を受賞、1960年交通事故で亡くなった。物語は、フランスの植民地であるアルジェリアのオラン市をペストが襲う。194*年4月最初の死者が確認されてから、流行が収束しロックダウンが解除される翌年の2月…