カミュは1957年戦後では最年少の43才でノーベル文学賞を受賞、1960年交通事故で亡くなった。
物語は、フランスの植民地であるアルジェリアのオラン市をペストが襲う。194*年4月最初の死者が確認されてから、流行が収束しロックダウンが解除される翌年の2月まで、主人公の医師、判事、神父、新聞記者、様々な登場人物が次第に連帯しながら災禍に立ち向かう姿をドキュメンタリータッチで描く。
すべてのエピソードがコロナ禍の現状と重なり、リアルに感じらる。
私が特に印象に残ったのは、判事の息子が感染し、実験的な血清療法を受け苦しみながら亡くなった場面。父親の判事は隔離され、死に目にも会えなかった。
それまで、ペスト禍は罪深き人間への報いだと説いていた神父は、何の罪もない子供が苦しんで死ぬのを目の当たりにして考えを変える。
実際に起きたことなのか?と思わず調べたが、
オラン市で実際にペストが発生したわけではない。
物語の最後、歓喜に沸く町で、医師リウーは思う。ペスト菌は決して死ぬことも消滅することもない。‥‥おそらくはいつか、人間に不幸と教訓をもたらすために、ペストがふたたびその鼠どもを呼びさまし、どこかの幸福な都市に彼らを死なせに差し向ける日が来るであろう。
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