#若きウェルテルの悩み
#ゲーテ
#高橋義孝 訳
#新潮文庫
自身の絶望的な恋の体験に基づいて執筆されたゲーテ23歳の作品。
友人に宛てた書簡の形式をとっている。許婚者のいる美しい女性ロッテに恋をし、遂げられない思いに絶望してついには自殺してしまう。
序文にはこう記されている。
「ちょうどウェルテルと同じように胸に悶えを持つやさしい心の人がおられるならば、ウェルテルの悩みを顧みて自らを慰め、そうしてこの小さな書物を心の友とされるがよい、もし運命のめぐり合わせや、あるいは自分の落度から、親しい友を見つけられずにいるのなら。」
悩みを抱えた若い人におすすめしたい本だが、当時、ヨーロッパ中でセンセーションを巻き起こし、ウェルテルを真似て自殺するものが多発したという。
書簡形式なので、ウェルテルの喜び、憤り、嘆きといった激しく揺れ動く感情が、涙やため息とともに直に自分に語りかけられているように感じられ、同調して後追いしたくなってしまうのだろう。
ウェルテルは、許婚者アルベルトの存在に悩み苦しみ、その地を去り、官職につく。
ウェルテルは最後は自殺してしまうが、元々は情熱的で正義感に溢れ、ポジティブ思考の活発な青年だ。
職場の欺瞞や形式主義にがまんならず、異を唱えると、当然軋轢を生む。現代で言えば、モラハラ受けて、退官してしまう。
ウェルテルは再びロッテのもとに戻ってくるが、結婚したロッテとアルベルトからは迷惑がられ、ピストル自殺する。
ゲーテは多くの名言・格言を残したが、この小説でも名言・格言が散りばめられている。
印象的な言葉
「ぼくの心こそはぼくの唯一の誇りなのであって、これこそいっさいの根源、すべての力、すべての幸福、それからすべての悲惨の根源なんだ。ぼくの知っていることなんか、誰にだって知ることのできるものなんだ。ーぼくの心、こいつぼくだけが持っているものなのだ。」
「世の中ではあれかこれかで片のつくようなものはそうめったにあるもんじゃないってことだ。ぼくらの気持ちや行動の仕方は実に複雑なのだ。鷲鼻と団子鼻の間に無数の変化があるようにね。」
「そういう人間はどんなに浮世の束縛を受けていたって、いつも胸の中には甘美な自由感情を持ち続けているんだ。自分の好む時に、現世という牢獄を去ることができるという自由感さ。」
「ぼくだけがロッテをこんなにも切実に心から愛していて、ロッテ以外のものを何も識らず、理解せず、所有もしていないのに、どうしてぼく以外の人間がロッテを愛しうるか、愛する権利があるか、ぼくには時々これがのみこめなくなる。
#名作 #ドイツ文学
#青年 #若者 #悩み #絶望