猫の本棚名作紹介ブログ

古今東西の名作を日々の雑感もまじえ紹介します。読書で人生を豊かに。

老人と海

#老人と海 1952

#ヘミングウェイ 1899-1961

#福田恆存 訳

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84日も釣果のない、運も尽きたかと思われる老人が、独り小舟で漁に出る。

 


若い頃の初読では、カジキと格闘する老人の、強いアメリカの象徴のような不屈の精神が印象的だった。

 


再読では、美しく大きいカジキや獲物を狙う鮫と老人との死闘が繰り広げられる臨場感と海の変化の描写に圧倒された。まるで大きなスクリーンで3D映画を見ているかのように。

 


ヘミングウェイの簡潔な文体がとても合っている作品だと思う。

 


そして明るいだけでなく陰影が、強さだけでなく弱さが、生き物との戦いだけではなく愛情が表現されていることに気づかされ感動した。何しろ獲物のカジキも自分の「兄弟」だというのだから。少年マノーリンがここにいてくれたら、と何度も海の上で老人がつぶやくのも印象的。

 


老人は、自身も傷を負い、翌日まで続く壮絶な知力、体力の勝負に打ち勝ちカジキを仕止めるのだが、ほっとする間もなく、血の匂いを嗅ぎつけてサメが次から次へと襲ってくる。一難去ってまた一難。自分だったら諦めてしまうかもしれない。

 


銛と綱はカジキに使ってしまったので、老人はナイフをサメに突き刺す。ナイフがなかったら、この老人、素手で闘うかもしれない。

 


老人はつぶやく。「けれど、人間は負けるように造られてはいないんだ。」「人間は殺されるかもしれない、けれど負けはしないんだぞ」

 

 

 

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