#カラマーゾフの兄弟(下)
#原卓也 訳
#新潮文庫
怪演を見せた父親役の吉田剛太郎はすぐブレークしたが、登場シーンも少ない脇役で意外な地味な犯人を演じていた無名の俳優は忘れ去られた。松下洸平が朝ドラで人気者になっても、すぐにスメルジャコフ役だとは気づかなかった。何かの折にもしかしてあの時の役者は、と思い調べたらそうだったので得心した。
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陰惨な事件を浄化させるような、救いのある終わり方でよかった。
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第四部
第十一編 兄イワン
イワンは父親殺しについて召使いスメルジャコフを問い詰めた。スメルジャコフは犯行を告白すると、首を吊って自殺した。犯行の手口は緻密に計画され頭脳的なものだったので、スメルジャコフをバカにしていたイワンは驚く。
同じフョードルの息子なのに、召使いの待遇ということへの恨みと金銭窃盗が動機と思われた。
さらに、スメルジャコフは、父親に対し殺意を持っていたイワンは共犯で、しかも主犯だと脅す。
衝撃を受けたイワンは譫妄症になってしまう。
第十二編 誤審
公判が始まった。ミーチャ(ドミートリー)には優秀で良心的な弁護士が弁護にあたった。検察側の憶測・仮定にしか過ぎない陳述を覆すが、弁護側も証拠に乏しく譫妄症のイワンの証言能力も疑問視され、結局有罪になってしまう。
エピローグ
ミーチャは以前イワンが提案したアメリカへの脱走計画を実行することを決意した。グルーシェニカもついていくと言う。アメリカでしばらく生活したら顔を整形して愛するロシアに戻ってくると前向きに考えている。
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公判の2日後イリューシャはこの世を去った。墓の前で家族と一緒に号泣する少年たち。
アリョーシャは石のそばで演説する。
「これから一生の間いつも思い出し、また思い出すつもりでいる、この善良な素晴らしい感情で僕たちを結びつけてくれたのは、一体誰でしょうか、… .それは僕らにとって永久に大切な少年イリューシャにほかならないのです!決して彼を忘れないようにしましょう。」
追善供養のホットケーキを食べに手をつないでいきましょう、とアリョーシャが呼びかけると、
「いつまでもこうやって、一生、手をつないでいきましょう!カラマーゾフ万歳!」コーリャが感激して絶叫し、少年たち全員が、もう一度その叫びに和した。
#長編小説
#読書ノート #読書記録
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